「殺菌」の表示がある乳酸菌に効果はあるの?

健康や美容のために乳酸菌を積極的に摂る人が増えていますが、乳酸菌を含んだ食品の表示を確認すると、「殺菌済み」と書かれていることがあります。これは、乳酸菌が死滅しているということなのでしょうか?

今回は食品に含まれる乳酸菌を殺菌する理由や、殺菌された乳酸菌の効果について、詳しくご紹介していきます。

乳酸菌(殺菌)とは?どんな意味があるの?

最近は健康志向が高まり、ヨーグルトなどの乳酸菌を含んだ食品を摂ることを習慣にする人が増えています。これは、乳酸菌がお腹の中で善玉菌を増やして、私たちの体の健康や美容をサポートしてくれるからですが、市販されているヨーグルトなどの成分表示をよく確認してみると、「乳酸菌 殺菌済み」とか、「乳酸菌(殺菌)入り」、「乳酸菌 殺菌されています」と書かれている商品があります。こういった表示は、どのような意味を持つのでしょうか。

殺菌と表示される食品の乳酸菌は死んでいる?

結論から言いますと、「殺菌」と表示されている食品の中に含まれる乳酸菌は、死滅しています。生きて腸に届くことも、腸内で善玉菌として働くことはありません。

私たちが購入する市販の食品は「食品衛生法」の規制を受けていて、原材料や食品に含まれている成分などをパッケージなどにわかりやすく表示しなくてはいけません。成分表示に「乳酸菌 殺菌」などと書かれている場合には、出荷前に殺菌処理を施して、食品中の乳酸菌を殺菌したということを示しているのです。

乳酸菌を含む食品の殺菌方法

食品を殺菌する方法としては、アルコール殺菌と加熱殺菌の2種類がありますが、牛乳などを原材料とする乳酸菌を含む食品はアルコール殺菌ができません。殺菌温度は各病原菌によっても違いますが、乳酸菌を含む食品の殺菌には食品を100℃以上に過熱して数秒間維持する高温殺菌か、60℃程度の温度を20~30分程度維持する低温殺菌のどちらかの方法が用いられます。

乳酸菌を含む食品は栄養が豊富で、乳酸菌以外の雑菌が混入して繁殖し、汚染されてしまうこともありますので、食品作りはまず原材料を加熱殺菌することから始まります。殺菌された原材料は消毒された容器に入れられ、ここに乳酸菌を投入し、乳酸菌の活動に適した40℃前後に温度を保ちながら乳酸菌を生育させていきます。

その後は充分に乳酸菌が増えたところでパッキングされていくのですが、パッケージに「殺菌」と表示されている食品はこの段階でもう一度加熱殺菌を行い、乳酸菌を死滅させてから商品として出荷されています。

乳酸菌を殺菌する理由

乳酸菌を含む食品の中には、雑菌の混入がないように完璧に衛生管理をしながら乳酸菌を育て、殺菌をせずに出荷される商品や、加熱殺菌をした後で生きた乳酸菌を注入して出荷される商品もあります。これが「殺菌」の表示のない食品なのですが、なぜあえて発酵後に加熱殺菌をして、乳酸菌を死滅させるのでしょうか?

実は、乳酸菌を殺菌する目的は食品の美味しさと品質を維持するためと、食品を安全に保存することにあります。乳酸菌を含んだ食品の魅力は健康効果だけでなく、心地よい酸味や香り、サッパリとする後味にもあるのですが、乳酸菌を殺菌しないと出荷後にどんどん乳酸菌が増えて、味が変質してしまいます。

乳酸菌の産生物である乳酸が増えすぎると味が酸っぱくなりすぎ、美味しさが損なわれてしまいますし、最悪の場合は酸が容器を溶かしてしまうことも。乳酸菌を美味しく、安全に摂取するためにも、乳酸菌の殺菌は大事な意味を持っているのです。

乳酸菌飲料の乳酸菌は殺菌されているものが多い?

乳酸菌を美味しく、しかも気軽に摂る食品としては、牛乳を発酵させてから甘味や香料、果汁などを加えて作った乳酸菌飲料もありますね。

乳酸菌入りの飲み物は乳酸菌飲料と呼ばれることが多いですが、実は牛乳の乳脂肪分以外の無脂肪固形分の割合と乳酸菌の数によって、「乳酸菌飲料」と「乳製品乳酸菌飲料」に分けられています。

「乳酸菌飲料」はたんぱく質や糖質、ビタミンやミネラルなどを含んでいる無脂肪固形分が3.0%未満と栄養は少ないのですが、1mlあたり100万個以上の乳酸菌や酵母が摂取できます。調味されてサラサラとした乳酸菌飲料は飲みやすく、ヨーグルトの独特の酸味や香りが苦手な小さな子供でも乳酸菌を摂取しやすいのですが、やはり乳酸菌を殺菌してある商品が多いです。

たんぱく質や糖質、ビタミンやミネラルなどの無脂乳固形分を3.0%以上含み、1mlあたり1000万個以上の乳酸菌か酵母を摂取できる「乳製品乳酸菌飲料」には、乳酸菌を殺菌した死菌タイプのものと、殺菌処理をしていない生菌タイプの2種類があります。

死菌タイプの乳製品乳酸飲料の代表ともいえるのがカルピスですが、乳酸菌を殺菌しているからこそカルピスの濃縮液は常温で長期保存でき、いつでも美味しく飲めるのです。生菌タイプの代表はヤクルトで、ヤクルトに含まれた乳酸菌シロタ株とビフィズス菌BY株は胃酸にも負けずにしっかり腸にとどき、善玉菌を増やして効果的にお腹の調子を整えてくれます。

殺菌された乳酸菌は意味がない?効果はないの?

最近は「生きて腸まで届く」という植物性乳酸菌の効果に注目が集まっており、乳酸菌は生きていないと意味がないと誤解されがちなのですが、そんなことはありません。ヨーグルトや乳酸菌飲料などの食品に含まれる乳酸菌は殺菌され、死滅していてもいいのです。

なぜなら、死滅した乳酸菌は腸に届き、腸内で活動する善玉菌の餌となってくれるからです。死菌であっても腸内環境を整える効果は変わりませんし、殺菌前に作りだした乳酸が体の良いエネルギーになって、私たちの体の健康と美容をサポートしてくれますので、「殺菌」の表示のあるヨーグルトや乳酸期飲料も安心して選んで下さい。

殺菌した乳酸菌で得られる効果

言葉のもつイメージから、死滅した乳酸菌よりも生きた乳酸菌の方が体に良いと思い込みがちですが、実は、食品に含まれる乳酸菌が生菌であっても死菌であっても、得られる効果は同じです。

強い胃酸にも負けずに生きて腸に届いた生菌は、腸内の善玉菌となって直接腸の働きを活性化させますが、死菌は腸内にすむ善玉菌の栄養となることで善玉菌を増やし、細菌バランスを整えてくれるので、死菌であっても生菌と同様に、次のような効果が期待できます。

  • 便秘の改善などの整腸作用
  • ニキビや肌荒れの改善
  • 免疫力の向上
  • 生活習慣病の予防
  • ダイエット  など

生菌と死菌の違いは?どっちがいいの?

ヨーグルトや乳酸菌飲料に含まれる乳酸は、牛の乳などに含まれる乳糖を栄養分に生育する動物性乳酸菌ですが、熱や酸に弱いといった特徴があります。口から生菌を摂取しても、強い胃酸にさらされてほとんどが腸に届く前に死滅してしまいますし、胃酸に強く生きたまま腸に届く植物性乳酸菌であっても摂って4~5日程度で便として排出されてしまうので、生菌の方がより優れていると判断することはできません。

殺菌された死滅した乳酸菌はパッケージの中で徐々に委縮していくのですが、私たちが口にする頃には1/10程度の小さな塊になります。死菌は小さいからこそ腸の中に万遍なく広がることができ、腸の細かい絨毛の中にまで入り込んで、奥に潜んだ善玉菌まで活性化させることができるという素晴らしいメリットがありますから、「殺菌」と表示された食品を頭から否定するのではなく、積極的に活用していきましょう。

生菌・死菌にこだわるよりも継続することが大事!

食品に含まれる乳酸菌は、生きていても死滅していても効果に変わりはありませんから、乳酸菌を含んだ食品を選ぶときに生菌・死菌にこだわる必要はありません。生菌であっても死菌であっても、自分にとって乳酸菌を継続して摂取しやすい食品を選ぶことが大事です。

乳酸菌にはさまざまな種類があり、ヨーグルト一つとっても、使われている乳酸菌によって味や香りが違います。「殺菌」という表示だけに注目するのではなく、自分が美味しいと感じるもの、長く続けやすい商品を選んで、身体に良い乳酸菌を継続して摂取していきましょう。